衣類についたシミの取り方、完全マニュアル|プロおすすめのシミ抜き商品も紹介

油や醤油、墨汁、血液など、不注意でついてしまった衣類のシミ。大切な服を長く着るために、何としてでもきれいに落としたいですよね。シミは性質別に落とし方や使うアイテムが異なります。それぞれ何を使ってどのようにシミ抜きをすればいいのか、家事代行サービス「CaSy」のキャスト育成講師・網元紀子さんに解説してもらいました!

目次

衣類のシミ抜きで大切な4つのポイント

衣類にシミをつけてしまった!シミ抜きを自宅でしたいときは、いくつかのポイントをおさえて対応しましょう。

①まずは慌てず、衣類の素材と洗濯表示を確認してからシミ抜きを

衣類には自宅で洗えるものと洗えないものがあり、洗えないものにシミがついてしまったときは、自宅でのシミ抜きは禁物。水洗いできない衣類を自分でシミ抜きをすると、シミがよけいに広がったり、生地が擦れたり、色が抜けるなどの失敗をする恐れがあります。

またシルクやレーヨン、ウールなどのデリケートな素材は、水分を含むと縮み、色落ちや輪ジミができてしまう可能性も。

まずは焦らず、洗濯表示や衣類の素材を確認して自宅でシミ抜きするか判断しましょう。デリケート素材や自分でのシミ抜きが難しい場合は、クリーニング店に任せることをおすすめします。

洗濯表示(旧表示)

②できるだけ早く落とす

労力がかかるシミ抜きは、面倒だからと後回しにしがち。ですがシミは時間が経つほど落ちにくくなります。シミに気付いたら、できるだけ早い段階でシミを落としましょう。

③汚れ別にアイテムを使い分ける

誤ったシミ抜きをしてしまうと、逆にシミが取れなくなってしまうことがあります。

例えば熱で固まる性質を持つ、鼻血などのタンパク質汚れをお湯で洗ってしまうと、よけいに取りづらくなります。正しい知識で処置をしておけば落ちた汚れも、間違った方法をするたびに時間が経過してしまい、さらに汚れが取りにくくなる可能性があるのです。

④無理にシミ抜きをしない

シミが落ちにくいからと強い力でこするなど、無理にシミ抜きをすると、繊維を傷つけてしまったり、変色や色落ちさせたりする恐れがあります。シミ抜きの際は繊維を傷めないよう注意しながら行いましょう。

自分でシミ抜きをしても大丈夫か、衣類の目立たない場所で試してからシミ抜きできるといいですね。

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シミ(汚れ)の種類

衣類の汚れには、簡単に分けると「水溶性・油溶性・不溶性」の3つの汚れがあります。それぞれ汚れによって落とし方やアイテムが異なるので覚えておきましょう。

水溶性のシミ

  • コーヒー
  • ジュース
  • ワインなど酒類
  • 醤油
  • ソース
  • ケチャップ など

水溶性のシミは水に溶けやすい性質をもっており、通常の洗濯で十分落ちるシミもあります。

具体的にはコーヒーやジュース類、ワインなどの酒類、醤油、ソース、ケチャップなど、食べ物の汚れが比較的多め。食べ物汚れは洗濯用の中性洗剤のほか、食器を洗う台所用の洗剤でも落とせます。

油溶性のシミ

  • チョコレート
  • バター
  • ミートソース
  • 油性ボールペン
  • 口紅
  • ファンデーション など

油溶性のシミは油を含んでいる汚れのことで、水に溶けにくく油脂に溶け込む性質があります。水溶性か油溶性かわからないときは、シミに水を一滴垂らしてみてください。水が染み込めば水溶性、はじくと油溶性です。

ちなみに、水が染み込むことがなく、またはじくこともなければ不溶性の汚れの可能性があります。

油溶性の汚れには、チョコレートやバター、ミートソースなど油を使った料理が挙げられます。この他、油性ボールペン、口紅、ファンデーションなども油を含み、油溶性の汚れとなります。

油は熱に溶けやすい性質があるので、シミ抜きをするときは水よりもお湯(40〜60℃)が効果的。また油溶性のシミを落とすにはベンジンやクレンジングオイルの使用がおすすめです。油シミは油で制す!と覚えておきましょう。

不溶性のシミ

  • サビ
  • 墨汁
  • ボールペンのゲルインク
  • 香水
  • チューイングガム など

不溶性の汚れとは、水にも油にも溶けないシミのことです。不溶性のシミには、泥やサビ、墨汁、ボールペンのゲルインク、香水、チューインガムなどがあります。水にも油にも溶けない性質なのでシミ抜きはとても厄介です。

▼ボールペンのインクでできたシミの落とし方は?
ボールペンのシミは、インクの種類が分かればお家で落とせる場合があります。クリーニングのプロが「衣類についたボールペンの汚れや染み抜き方法」を解説。

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シミの性質別に落とし方を解説!

それでは、各シミの性質別に具体的な落とし方を紹介します。それぞれ「醤油」「油」「墨汁」を実際にシミ抜きしてみました。

【水溶性のシミ】醤油で解説

まずは水溶性のシミから。醤油のシミがついたときの落とし方についてお伝えします。

用意するもの

・歯ブラシや綿棒など
・汚れてもいいタオル
・台所洗剤(中性洗剤)

落とし方

1. シミ部分をぬるま湯で洗い流し、その上から食器用中性洗剤をかける。

2. 歯ブラシや綿棒などを使い、シミ部分に洗剤をやさしく揉み込む。

※デリケートな素材のときは、衣類の下にタオルを1枚入れましょう。シミの面がタオルに接するように敷き、衣類側から綿棒やブラシなどでタオルにシミを移すイメージでトントンと叩いていきます。シミ取り後の輪ジミ防止のために、シミの外側から中心に向かって行うことがポイント。こすると生地を傷めるので気をつけてください。

3. シミが落ちたら、通常通り洗濯機で洗う。

シミがとれない場合は作業を何回か繰り返すか、少し洗剤をつけて放置しておくと効果は上がります。それでも落ちない場合は、酸素系漂白剤を使って洗いましょう。ただし色落ちや変色がないか、見えない部分で試してまずは確認を!

【汚れが落ちにくい場合】酵素系漂白剤を使うシミ取り方法

汚れが落ちにくい場合は、酸素系漂白剤を使ってみましょう。水溶性の汚れのほか、油溶性や不溶性の汚れが落ちないときにも使える方法です。

用意するもの

  • 酸素系漂白剤
  • 歯ブラシや綿棒など
  • 漂白剤を入れる容器
  • 深めの耐熱容器(マグカップがおすすめ)
  • 熱湯

※粉状の酸素系漂白剤を使用する場合は、お湯で溶かしペースト状にして使用する。

落とし方

1. お湯(90℃以上)を沸かして耐熱容器に注ぎます。酸素系漂白剤は使いやすいよう容器に入れておきましょう。

2. シミ部分を耐熱容器の上におき、お湯の蒸気があたるようにします(火傷に十分ご注意ください)。

3. 歯ブラシや麺棒などで酸素系漂白剤をつける。

4. お湯でしっかりすすぐ。

注意点:

シルク、ウールは脱色しやすいので酸素系漂白剤の使用はやめておきましょう。また水洗いできない素材には使えません。塩素系、還元系漂白剤(キッチン用ハイターなど)は使用しないでください。その他、ボタンやファスナーなどは酸化して変質の可能性があるので要注意です!

▼酸素系漂白剤ってどんな洗剤?
衣類のシミ抜き以外にも、食器洗いや掃除などさまざまな場面で使える「酸素系漂白剤」。製造メーカーの”中の人”にオススメの酸素系漂白剤活用方法を教えてもらいました。

人にも自然にも優しい酸素系漂白剤 --つけ置くだけで茶シブも衣類シミもキレイ!

洗濯だけでなく、食器洗いや掃除などさまざまな場面で使える「酸素系漂白剤」を使ったことはありますか。使う人にも環境にも優しく、幅広い用途に使える"万能選手"です。製造・販売元のシャボン玉石けん株式会社に、商品の特長などを聞いてみました。

お洗濯のプロおすすめ!水溶性のシミ落としアイテム

私のおすすめの酵素系漂白剤は花王の「ワイドハイターEXパワー ガンコなシミ用」。シミ部分に直接吹き付けて、そのまま洗濯するだけでもよく落ちます。通常の洗剤だけでは取れにくいシミにぜひ使ってみてください。

【油溶性のシミ】油で解説!

続いて、油のシミがついた時の落とし方を解説します。

用意するもの

・歯ブラシや綿棒など
・汚れてもいいタオル
・クレンジングオイル

落とし方

1. シミを落とす衣類の下にタオルを敷き、シミの部分に直接クレンジングオイルをつける(効果が半減するのでシミ部分は水に濡らさない)。

2. 歯ブラシや綿棒を使って、シミの上からトントンと叩いていく。

3. 繊維の奥まで入った油溶性のシミに、クレンジングオイルがしっかり定着するよう、5分くらいおく。

4.中性洗剤をシミの部分につけ、お湯でやさしく揉み洗いした後、通常通りに洗濯する。

軽いシミやついてすぐであれば、油溶性のシミも水溶性のシミの取り方と同様、台所洗剤で落とせます。時間がたったシミや、強い汚れはクレンジングオイルでシミ抜きしましょう。

ただし、クレンジングオイルも油成分なので、クレンジングオイルが繊維に残ってしまうとシミが悪化する恐れがあります。油成分が残らないよう、仕上げに中性洗剤を使ってしっかり洗い流しましょう。

お洗濯のプロおすすめ!油溶性のシミ落としアイテム

おすすめのクレンジングオイルは、牛乳石鹸より販売されている「カウブランド無添加 メイク落としオイル」。シミ抜きを機にクレンジングオイルを購入するのであれば、肌にも生地にも負担の少ない無添加のクレンジングオイルがおすすめです。

【不溶性のシミ】墨汁で解説!

最後に墨汁のシミがついたときの落とし方を解説します。

用意するもの

・固形石鹸
・台所洗剤(中性洗剤)

落とし方

1. 中性洗剤をシミに直接かけ、その上から固形石鹸でこする。

2. 墨汁が浮きでてきたら、すぐに洗い流す。

3.シミが薄くなるまで1〜2の工程を繰り返す。

4. 洗濯機でいつもどおり洗う。

墨汁のシミは、乾いてしまうとプロのクリーニング業者でも取ることが難しいとされています。実際、今回もうっすらですがシミが残りました。シミ予防策として、墨汁を使うときは濃い色の服を着ることもおすすめです。

お洗濯のプロおすすめ!不溶性のシミ落としアイテム

固形石鹸でおすすめなのは東邦の「ウタマロ石けん」。子どもの汚れた上履きや靴下の裏など、ウタマロを使用するとみるみる汚れが白くなりますよ。

大きいままだと使いづらいので、私はいつも1回分ごとに小さくして使っています。小分けにすると使い勝手もよくなり、見た目も可愛いですよ(SNSなどでは「チビマロ」「ミニマロ」「ウタマロキューブ」と呼ばれています)。

▼いろんな汚れが落とせるウタマロ石けん
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タンパク系汚れには酸素系漂白剤を

上記で紹介したシミ汚れのほかに、子どものおもらしや血液、汗、母乳、卵など、タンパク系のシミがついてしまうこともあります。

タンパク系のシミの場合は、液体の酵素系漂白剤をつけて洗濯しましょう。なおこのとき、お湯は使いません。熱めのお湯を使うとタンパク質が固まってシミが落ちにくくなるので注意が必要です。水で落としていきましょう。

自宅で洗っても落ちない場合は?

自宅で上記のとおり洗ってもシミが落ちない場合や、難しい素材の衣類にシミが付いてしまった場合には、無理をせずプロのクリーニング業者に相談しましょう。時間がたってしまったシミも、プロに頼めば、もしかしたら何とかなるかもしれません。

ついてしまったシミは、できるだけ早く落とすことがとても大事です。シミの性質と落とすポイント見極めて、すばやく対処しましょう!

制作協力:株式会社CaSy

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