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【今日から始める新NISA③】新NISAで損しないための5つのルール
2024年から始まる新NISA。気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこでトクバイでは、新NISAについて紹介する短期集中連載を企画!
新NISAってなにがいいの? 投資を始めたいけどリスクがあるし難しそう、とモヤモヤしている人のために、専門家がやさしく解説します。
これさえ読めば、来年1月の新NISA・投資デビューも間に合いますよ!
第3回目の今回は、投資のリスクに対する考え方について。
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投資はやっぱりリスクが心配。なかなか踏み出せません。
ルール① マイナスになっても、売らなければ大丈夫。放っておくメンタルを持って。
新NISAは、利益にかかる税金が非課税になる制度なので、利益が出ないとメリットがありません。
投資は預金のように元本保証はなく、景気や金利、為替、世界情勢などさまざまな影響を受けて上がったり、下がったりするため、一時的にマイナスになることもたしかにあります。
ただし、上がりっぱなし、下がりっぱなしにはなりにくいです。
株式に投資する場合、最初は値動きのブレ幅が大きく、元本の半分ぐらいになることもあり得ますが、続けていくうちにならされ、“平均”に近づいていきます。
大きなマイナスは次第に減り、10年も経つとリターンを出して成長している可能性がぐんと上がるのです。
ですから、マイナスになったからといって、焦って売ってしまうのだけは避けてください(これを”狼狽売り”といいます)。
とにかく10年は放っておくメンタルを持ちましょう。
このルールから考えると、10年は放っておけるお金で投資するのがベストといえます。
「マイナスになって不安になる」ことが損するリスクにつながるので、心配な人は特に最初の数年は、あえて資産の推移を「見ない」のもおすすめです。
本当に上がっていくの? 下がって塩漬け(※①)になるって話も聞くけど…
ルール② 10年先、20年先を想像してみましょう。今より便利な時代になる=経済の成長です。
過去のデータから見るに、最も成長している資産は株式です。
株価は、企業が成長し利益を生み出せば、自然と伸びていきます。個々の企業の成績はばらつきがありますが、全体的には成長していくのが、経済の原則です。
ためしに、10年先、20年先、30年先を想像してみてください。
車は自動運転が当たり前になっていたり、夏休みに宇宙旅行に行ったりする生活が待っているかもしれませんね。
10年前と今では明らかに違うように、少なくとも、今より新しく、便利な暮らしになっていることでしょう。
ならば、そうした商品やサービスを提供する企業の利益も出ているはずで、全体的に株価も上昇していくと考えられます。
私たちが「もっといい暮らしがしたい」「こんなサービスが欲しい」と願う限り、企業はそれに応え続けます。
世界的に人口が増えている今、こうした「欲」はまだまだ広がっていくわけで、今後の世界経済の発展を後押ししていくでしょう。
第一回の記事でご紹介した、全世界の株式をまるごと買える投資信託に投資するということは、全体的には伸びていく市場にお金を置いておくことと同じです。
塩漬けになる心配はそれほどいらないのではないかと思います。
(※①塩漬け:購入時より下がってしまった株を評価額マイナスのまま保有し続けること)
できるだけリスクを減らすには?
ルール③ 株式の比率を下げて、いくつかの資産に投資しましょう。
値下がりリスクをできるだけ減らすには、投資する資産を「分散」させることが最も重要です。
先ほどご紹介した全世界株式型の投資信託は、数千の株式に分散させることはできるものの、資産としては「株式のみ」です。
長期的には成長が期待できるものの、値動きは大きく、リスクは高いカテゴリーとなります。
大きな下落を避けたい場合は、株式の比率を下げることでリスクをコントロールできます。
株式が下がったときに値上がりしやすい「債券」や、株式とは異なる値動きをする「不動産」などの資産を組み合わせることで、株式だけで運用するよりリスクを抑えられる効果があるのです。
こうした性質の異なる資産のことを「資産クラス」といい、資産クラスを分散させることが、リスクを減らすうえで重要なのです。
自分で好きな資産クラスの投資信託を、いくつか組み合わせて買ってももちろんいいのですが、「バランスファンド」といって最初からいくつかの資産クラスが入った投資信託もあります。
新NISAでの投資が初めてで、リスクが心配な人は、最初はバランスファンドを選ぶのもいいでしょう。
ただし、金融機関によって購入できるバランスファンドは異なるので、事前に買いたい商品があるか確認するようにしてください。
よくわからなくて、高いときに買ってしまわないか心配!
ルール④ 「狙わない」こと。コツコツ積み立てで買いましょう。
投資信託は、毎日値動きがあり高くなったり、低くなったりします。
賢く買う秘訣は、「狙わない」ことです。
安いときに買おうと思っても、毎日値動きを見張るのは大変ですし、「今が底値」かどうかは誰にもわかりません。
「明日はもっと下がるかもしれない」と思ってしまうと、買えなくなります。
そこで、おすすめしたいのが、定額の積み立てで買うスタイルです。
毎月、定額で買っていけば、高いときは少なく、安いときは多く買えます。
ちょうど、お肉が100グラム200円のときと、150円のときとでは、同じ1000円でも買える量が変わってくるのと似ていますね。
積み立てで買うと何がよいかというと、買った値段がわからなくなることかもしれません。
「毎月いくらで買ったか」を覚えていられないので、「損した」「得した」と意識せず、淡々と続けていくことができます。
もちろん、高値づかみをしにくく、安いときには多く買えるというメリットもありますが、続けることが資産形成には何よりも重要です。
私はこの値段がわからなくなるという点は、意外と大きな積み立てのメリットではないかと思います。
同じことは商品についてもいえます。
「みんながいいと言っている商品」は、あえて狙わないことです。
みんながいいと言っている商品は、みんなが買うので評価額も上がりやすくなります。
つまり、高値づかみしやすいリスクをはらんでいるのです。
そうは言っても、人の意見に流されそう…
ルール⑤ ゴールを決めて、自分が納得できる商品を買いましょう。
投資で大切なのは、ゴールを決めることです。
老後のためならば、定年を迎える時点、教育資金なら子どもが大学を受験する頃にどのぐらい用意したいのか、そのために毎月いくら投資するのかを考えてから始めると、迷ったときの判断軸になります。
商品についても、ここでは「全世界株式型の投資信託」をおすすめしましたが、債券や不動産の投資信託が向いている人もいるでしょう。
途中でコロコロ変えてしまうと、資産の成長が弱くなってしまうので、「自分が納得して選ぶ」ことがとても大切なのです。
次回は、新NISAでの商品選びについて解説します。
ご自身の目的には、どんな商品が合うか、ぜひ参考にしてみてください。
取材・文/カクワーズ
▼第1回の記事はこちら
▼第2回の記事はこちら
▼第4回の記事はこちら
▼第5回の記事はこちら
教えてくれた人
吉田 篤さん
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、日本証券アナリスト協会検定会員補(CCMA)。
FP法人シグマ代表。日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)、会計事務所系のコンサルティング会社を経て独立。個人相談のほか、全国で講演も行っている。
監修著書に「老後、教育費…将来が不安!でも、面倒くさいことナシで、お金が貯まる方法、教えてください!」(エクスナレッジ)